【小児科医が伝える】子どもの風邪とは?~症状・原因・治療と抗菌薬の疑問~|江戸川区平井の小児科・皮膚科|平井みらいこどもクリニック|土曜診療

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【小児科医が伝える】子どもの風邪とは?~症状・原因・治療と抗菌薬の疑問~

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【小児科医が伝える】子どもの風邪とは?~症状・原因・治療と抗菌薬の疑問~

【小児科医が解説】子どもの風邪(風邪症候群)とは? 症状、原因、治療、抗菌薬について

小児科を受診されるお子さまで最も多い症状の一つに 風邪 があります。今回は、お子さまの 風邪(正式名称:風邪症候群) について、その原因、症状、そして治療における抗菌薬(抗生剤、抗生物質)の考え方について、小児科医の立場から詳しくご説明いたします。

風邪とは?主な症状と原因

風邪は、鼻やのどなどの 上気道 に、ウイルス細菌 が感染することで起こる病気です。主な症状としては、3~4日程度の発熱、そして 1~2週間程度の鼻水や咳 が見られます。

風邪の原因の 90%以上はウイルス感染 によるものです。驚くべきことに、そのウイルスの種類は 400種類以上 にも及びます。保育園や幼稚園に通い始めたばかりのお子さまが何度も風邪を引いてしまうのは、これほど多くの原因ウイルスが存在するためです。1歳前後のお子さまは、平均して 1年に6回程度 風邪を引くと言われており、風邪を繰り返すことは、お子さまにとっては決して珍しいことではありません

風邪に抗菌薬(抗生剤)は効かない?

お子さまが風邪をひいた際、抗菌薬を処方されることがあるかもしれませんが、ウイルス感染による風邪に抗菌薬は効果がありません。抗菌薬は、細菌に対してのみ有効な薬です。お子さまの風邪が治るのは、薬の力ではなく、お子さま自身の自然治癒力(抵抗力、免疫力) によるものです。

風邪は本来、自然に治っていく病気であり、ウイルスそのものをやっつける根本的な治療薬はありません。私たちが処方する薬は、主に 症状を和らげるためのもの(解熱剤、去痰薬、鼻水止めなど)です。

国立健康危機管理研究機構AMR臨床リファランスセンターHPより引用

なぜ風邪に安易な抗菌薬投与は避けるべきなのか

「頻度は少ないけれど、細菌が原因の可能性もあるなら、念のため抗菌薬を飲んだ方が良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、不必要な抗菌薬の使用には、いくつかのデメリット があります。

最も重要なことの一つに、薬剤耐性菌 の問題があります。抗菌薬を必要以上に飲むと、細菌も賢くなり、徐々に抗菌薬が効きにくくなってしまいます。風邪の初期、つまりウイルス感染の状態から安易に抗菌薬を服用すると、耐性菌が増殖し、本当に細菌感染による病気になった際に、有効な抗菌薬がなくなってしまう可能性があります。

実は、日本は過去に抗菌薬の使用量が多かったため、世界的に見ても耐性菌が多い国の一つ として知られています。お子さま自身が耐性菌を持っている場合、将来、本当に抗菌薬による治療が必要になった際に、使える薬がないという事態も起こりかねません。

さらに、様々な研究により、乳児期に多くの抗菌薬を投与されたお子さまは、アレルギー疾患(食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎)の発症リスクが高い ことも示唆されています。

当院の方針:お子さまの未来のために

私たち平井みらいこどもクリニックでは、お子さまたちの現在と未来の健康を考え、自然に治る可能性の高いウイルス性の風邪には、原則として不要な抗菌薬は処方しない 方針をとらせていただいております。

もちろん、抗菌薬を絶対に投与しないというわけではありません。細菌感染が強く疑われる場合など、本当に必要な際には、むしろ積極的に使用するべきだと考えています。

安易に抗菌薬を処方するのではなく、しっかりと診察させていただいた上で、抗菌薬が必要かどうかを慎重に判断 させていただきますので、ご理解いただけますと幸いです。お子さまの症状でご心配なことがございましたら、遠慮なくご相談ください。

平井みらいこどもクリニック 小児科 杉 海秀

 

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