あれ?もしかして成長が早い?思春期が早い?子どもの「思春期早発症」について
- 2025年9月4日
- 発達
「うちの子、もしかして成長が早い?」「まだ小さいのに胸が出てきたけど大丈夫?」
そんなふうに感じて、不安になっている親御さんはいませんか?
最近、子どもたちの体の成長が早く始まる「思春期早発症」についてご相談いただく機会が増えています。通常よりも早く思春期のサインが現れるこの状態は、早期に気づいて適切な対応をとることがとても大切です。
この記事では、思春期早発症とは何か、どのようなサインがあるのか、そして親ができることについて、小児科医の視点から分かりやすく解説します。
思春期早発症ってどんな病気?
思春期早発症は、本来であればもう少し後で始まるはずの思春期が、女の子なら8歳未満、男の子なら9歳未満で始まってしまう状態のことです。
通常の思春期は、体の変化が少しずつ時間をかけて現れますが、思春期早発症の場合はその変化が急激に、そして早くやってきます。
例えば、女の子なら7歳を過ぎたばかりなのに胸が膨らみ始めたり、男の子なら9歳になる前に声変わりが始まったりします。
こうした変化が早く来すぎると、骨の成長も早まってしまい、一時的に身長がぐんと伸びた後、早い段階で伸びが止まってしまうことがあります。その結果、最終的な身長が低くなってしまう可能性があるのです。
見逃さないで!思春期早発症のサイン
お子さんの様子で気になる点はないか、以下のサインをチェックしてみましょう。
●女の子の主なサイン●
7歳半までに乳房がふくらみ始める
8歳までに陰毛やわき毛が生える
10歳半までに初潮が始まる
●男の子の主なサイン●
9歳までに精巣や陰茎が大きくなる
10歳までに陰毛が生える
11歳までに声変わりしたり、ひげやわき毛が生えたりする
●男女共通のサイン●
周りの子よりも身長が急に伸びる(その後、急に止まることがあります)
大人と同じような体臭(汗のにおい)がする
ニキビが増える
これらのサインが複数見られる場合や、「あれ、もしかしてうちの子は思春期が早いかも?」と感じたら、一度小児科を受診することをおすすめします。
思春期早発症の原因は?食事も関係ある?
思春期が早く始まる原因は、ホルモンのバランスや脳の異常など、さまざまです。ただ、最近の研究では、日々の食生活も思春期が始まる年齢に影響を与える可能性が指摘されています。
アメリカで行われた研究では、健康的な食事をしている女の子は初潮を迎える年齢が遅く、逆に、体の中で炎症を引き起こしやすい食品(ジャンクフードや加工肉など)を多く食べている女の子は、初潮を迎える年齢が早まる傾向にあることが分かりました。
これは、肥満や身長とは関係なく、食事の内容そのものが体の成長に影響を与えることを示しています。
思春期早発症かな?と思ったら
自己判断で悩んだり、様子を見すぎたりせず、早めに専門医に相談することが大切です。
当院では、お子さんの成長のスピードや体の変化についてお話を伺い、必要に応じて血液検査でホルモンの値を調べたり、レントゲン検査で骨の成長具合(骨年齢)を測定したりして診断します。
治療が必要な場合は、思春期の進行を一時的にゆっくりにするための注射など、お子さん一人ひとりに合わせた治療法を検討します。これにより、最終的な身長が低くなるリスクを軽減することができます。
もちろん、全てのケースで治療が必要になるわけではありません。「6〜7歳で胸が出てきた」など、気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。お子さんの成長を一緒に見守りながら、適切なアドバイスをさせていただきます。
まとめ
お子さんの「成長が早い」ことは、喜ばしいことであると同時に、親御さんにとっては不安の原因になることもあります。
思春期早発症は、早期に気づくことで適切な対応が可能です。お子さんの体の変化に気づいたら、オープンな気持ちで話を聞いてあげてください。そして、少しでも心配なことがあれば、いつでも当院にご相談ください。
お子さんが安心して成長できるように、私たち専門医がサポートします。