お泊まりも安心!夜尿症のお子さんの宿泊行事対応ガイド
- 2025年7月11日
- 夜尿症
お子さんの学校生活で、特に楽しみにしているのが「お泊まり行事」ではないでしょうか。修学旅行や林間学校、キャンプなど、友達と過ごす夜は特別な思い出になります。でも、もしお子さんが夜尿症(おねしょ)の場合、「お泊まりで大丈夫かな?」「友達にばれたらどうしよう…」と、ご本人もご家族も、大きな不安を感じるかもしれません。
今回は、夜尿症があるお子さんが宿泊行事に参加する際の、不安を安心に変えるための具体的な対応についてお伝えします。
1.まずは「お子さんの気持ち」に寄り添い、自信を持たせる
お泊まり行事の直前は、お子さん自身が一番不安を感じています。お子さんが自信を持って宿泊行事に参加できるよう、温かくサポートしてあげましょう。
- ■「大丈夫だよ」と安心させる: 「もしおねしょをしても、誰も責めないよ」「先生も協力してくれるから大丈夫だよ」など、お子さんが安心できる言葉をかけてあげましょう。
- ■自信を育む: 夜尿症は決して恥ずかしいことではありません。お子さんが日頃から頑張っていることを認め、前向きな気持ちで宿泊行事に参加できるよう、励ましてあげてください。
2.学校や宿泊施設との「連携」が成功のカギ!
お子さんのプライバシーを守りながら、先生方と協力体制を築くことが非常に重要です。
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担任の先生や養護教諭に事前に相談
- 事前に夜尿症があることを伝え、ご理解とご協力を求めましょう。その際、「お子さんのプライバシーに配慮してほしい」旨をはっきり伝えることが大切です。
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具体的な対応の打ち合わせ
- ■寝る前には必ずトイレに行く: 就寝前に必ずトイレに行くよう、先生から促してもらえると安心です。
- ■水分摂取の調整: 夕食後や寝る前の水分量について、先生と相談しておきましょう。200mL以下に抑えるのが望ましいです。
- ■夜間に起こしてもらう: 先生に夜中の12時半前後など、就寝してから数時間後に友達に目立たないようにそっと起こしてもらい、トイレで排尿させるのも有効な手段です。
- ■就寝場所の配慮: 可能であれば、トイレに近い場所や、いざという時に目立たない場所(出入り口付近など)に寝かせてもらう配慮をお願いできるか相談してみましょう。
- ■着替えや寝具の準備:
- ・もしもの時に濡れやシミが目立ちにくいよう、厚手で濃い色のパジャマを持参しましょう。
- ・万が一汚してしまった場合の着替えや、防水シーツなどの準備について、どのように対応するか確認しておきましょう。
- ■着替えや寝具の始末: 翌朝、早めに様子を見てもらい、もし失敗していたら目立たないように着替えや濡れたシーツの後始末をしてもらうよう依頼しましょう。
3.ご家庭での「事前準備」と「対策」で安心感を高めよう
出発前に、お子さんが安心して過ごせるよう、具体的な準備を進めましょう。
- ■宿泊行事対応パンツの活用:
- ・吸水性や防水性に優れた専用のパンツ(宿泊行事対応パンツ、おねしょパンツ、夜用トレーニングパンツなどと呼ばれます)を用意しましょう。使い捨てタイプと洗って繰り返し使えるタイプがあります。
- ・選ぶポイント: お子さんの夜尿量に合った吸水量、ズレにくいフィット感、肌触りの良さ、そして「見た目が目立ちにくいか」を重視して選びましょう。お子さん自身が嫌がらずに履けるものが一番大切です。
- ■多めの着替え: パジャマ、下着、寝間着など、多めに用意しましょう。汚れてもすぐに替えられるよう、荷物の中で分かりやすい場所にまとめておくと便利です。
- ■汚物入れ・ビニール袋: 汚れてしまった衣類や寝具を入れるためのビニール袋を数枚持たせましょう。消臭効果のある袋だと、さらに安心です。
- ■お薬の持参(服用中の場合): もし夜尿症のお薬を飲んでいる場合は、宿泊中も忘れずに服用できるよう、先生や引率の先生に相談の上、持たせましょう。服用時間なども伝えておくと安心です。
4.【季節別】夏と冬、それぞれの注意点
季節によって、夜尿症の対応で気を付けるべきポイントが変わってきます。
夏の宿泊行事の場合
- 🌞水分補給の工夫: 暑い日中は脱水予防のためしっかり水分を摂る必要がありますが、夕食後から寝る前は、水分量を調整しましょう。冷たい飲み物は体を冷やすことがあるので、常温に近いものを少量にするのがおすすめです。
- 🌞寝冷え対策: エアコンの効いた部屋や寝冷えしやすい場所では、薄手の長袖パジャマやタオルケットなどで体を冷やさないように工夫しましょう。汗をかいたらこまめに着替えることも大切です。
冬の宿泊行事の場合
- ⛄体を温める工夫: 体が冷えると夜尿症が悪化しやすいので、防寒対策を徹底しましょう。厚手のパジャマやフリース素材、靴下、腹巻などを活用し、寝ている間も体が温まるように気をつけましょう。
- ⛄就寝前の入浴: 就寝前にゆっくり温かいお風呂に入ることで、体が温まり、リラックス効果も期待できます。ただし、湯冷めしないよう、入浴後はすぐに体を拭き、温かい格好で過ごしましょう。
5.宿泊までに時間がある場合は、根本的な解決を目指しましょう
行事参加時の対策は、あくまで緊急避難的なものであり、夜尿症の治療に向けた根本的な解決策ではありません。
夜尿症は、適切な対応と治療で必ず良い方向に向かいます。宿泊行事をきっかけに夜尿の改善に向けて考える場合は、是非、当院までご相談ください。
当クリニックでは、お子さんの状況を詳しく伺い、生活習慣の改善指導、夜尿アラームを使った治療、お薬を使った治療など、お子さんに合わせた最適な治療法を提案しています。
お子さんが自信を持ってお泊まり行事に参加できるよう、そして夜尿症の根本的な解決を目指して、私たちと一緒に準備を進め、取り組んでいきましょう。どんな小さなことでも構いませんので、ご心配なことがあれば、いつでもご相談ください。