こどもの風邪 〜ホームケアと受診の目安〜
- 2025年5月18日
- ホームケア
以前の記事で風邪に抗菌薬は効かないため、症状を和らげてくれる薬(解熱剤や去痰薬、鼻水止めなど)を処方することをお話ししましたが、風邪の治療において、正しいホームケアを行うこともとても大切です。
今日は風邪の時のホームケアについて簡単にお話ししたいと思います。
ホームケアについて
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安静
- しっかりと身体を休ませることが大切です。無理せず、ご自宅でゆっくり過ごしましょう。
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水分補給
- 熱が出たり、鼻水が出たりすると、体の水分が失われ脱水になりやすくなります。こまめに水分を摂りましょう。糖分と塩分のバランスが良いイオン飲料や、お子様が飲みやすいリンゴジュースなどもおすすめです。
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食事
- 消化の良い栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。食欲がない時は、無理に食べさせる必要はありませんが、その時も水分補給はしっかりと行ってください。
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鼻水・鼻づまりのケア
- 鼻水が多い時は、優しく拭き取ってあげたり、鼻吸い器で吸ってあげたりすると楽になります。特に赤ちゃんは1歳頃まで主に鼻で呼吸するため、楽に呼吸をさせてあげるためにも鼻づまりのケアは大切です。
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解熱剤
- そもそも解熱剤には病気を治す効果はありません。解熱剤を使う目的は、高熱によってお子さまが「しんどい」「つらそう」と感じている状態を和らげてあげることです。具体的には、熱が高いせいでしんどそう、眠れないといった状況で使用を検討します。逆に、高熱でも比較的元気そうである場合は、無理に使う必要はありません。坐薬と飲み薬のどちらが早く効くか、よく効くかというご質問をよく受けますが、効き目の強さや効き始める時間に大きな違いはないと考えていただいて構いません。
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感染拡大を防ぐ対策
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手洗い・うがい
- 家族みんなでこまめに手洗いとうがいを行いましょう。
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換気
- 定期的に部屋の空気を入れ替えましょう。
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温度管理と湿度管理
- 着させ過ぎや暑すぎる環境は脱水症のリスクになるので避けてください。「汗をかけば早く治る」というのは誤りです。大人が過ごしても快適な温度設定を心がけましょう。空気が乾燥していると、のどや鼻の粘膜も乾燥しやすくなります。加湿器などを使って適切な湿度(目安として50~60%)を保つと良いです。
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タオルなどの共有を避ける
- 風邪のウイルスなどが家族間でうつるのを防ぐため、タオルや食器、コップなどはできるだけ分けて使用しましょう。
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入浴
- 絶対に入浴してはいけないわけではありません。ただ、高熱がある時やしんどそうな時には避けてください。熱いお湯に長時間浸かると体力を消耗しますし、脱水症のリスクになります。蒸しタオルでの清拭や、もし入浴するとしてもぬるま湯に短時間にしましょう。入浴後は湯冷めしないようにご注意ください。
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看病する人の体調管理
- 看病する方も睡眠や休息をしっかり取り、無理せずご自身の体調にも気を配りましょう。
こんな時はもう一度受診を
以下のような症状があるときはもう一度受診をお願いします。
- ●高熱が続く(目安として3日以上)
- ●咳がひどく、呼吸が苦しそう(ゼーゼーする、息をするときに胸やお腹がペコペコへこむなど)
- ●顔色が悪い(青白い、唇の色が悪い)
- ●ぐったりしていて元気がない
- ●水分が摂れない、おしっこがほとんど出ない
- ●けいれん(ひきつけ)を起こした
- ●症状が悪化しているように感じる
- ●お子さまの様子がいつもと明らかに違う
これらの症状が見られた場合以外にも何か気になることがあればぜひ小児科を受診してください。
風邪は、特に小さなお子さまにとってよくかかる病気であり、親御さんにとってはご心配も尽きないことと思います。ご紹介したホームケアの方法を実践することで、お子さまのつらい症状を和らげ、回復をサポートすることができます。
もし、これらのホームケアを行っても症状が改善しない場合や、「これって大丈夫かな?」と少しでも不安に感じることがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので、当院までご相談ください。ご家族の皆様が安心して看病できるよう、スタッフ一同サポートさせていただきます。