【小児科医が解説】妊婦さんが「葉酸」を摂るべき理由と、知っておきたい大切なこと
- 2026年7月16日
- 妊娠
こんにちは!私たちは小児科クリニックですが、実は「赤ちゃんがお腹の中にいるとき(妊娠期)」、さらには「生まれる前(妊活期)」からのケアも、子どもたちの未来の笑顔を守るために重要だと考えています。
今回は、妊活中・妊娠中のママに絶対に知っておいてほしい栄養素「葉酸(ようさん)」について、小児科医の視点からわかりやすく解説します。
1. なぜ妊婦さんに「葉酸」が必要なの?
一言でいうと、「赤ちゃんの脳や神経が、正常に育つのを助けるため」です。
お腹の中の赤ちゃんは、驚くべきスピードで細胞分裂を繰り返して大きくなります。葉酸は、この「新しい細胞を作るとき」に、なくてはならないビタミンです。
特に妊娠の超初期(妊娠4週〜7週頃)は、赤ちゃんの脳や脊髄の元となる「神経管」という大切なストロー状の管が作られます。この時期に葉酸が不足すると、管がうまく閉じず、以下のような先天異常が起きるリスクが高まることが分かっています。
- 🔸二分脊椎症(にぶんせきついしょう): 脊髄の神経が外に出てしまい、生まれつき足が動かしにくかったり、排尿のコントロールが難しくなったりする病気です。
- 🔸無脳症(むのうしょう): 脳が正常に作られず、多くは流産や死産に至ってしまいます。
これらのリスクを減らし、赤ちゃんの健やかな発育を支えるために、葉酸は欠かせないビタミンなのです。
2. 【重要】「妊娠前」から摂ることが大切
小児科医として、ここが一番お伝えしたいポイントです。
厚生労働省のガイドラインでも、葉酸は「妊娠を計画している段階(妊活中)から、妊娠3か月まで」しっかり摂ることが強く推奨されています。
なぜなら、赤ちゃんの脳や神経の重要な部分が作られるのは、月経の遅れに気づいて「妊娠したかも?」と病院に行くか行かないかの時期だからです。
「妊娠が確定してから飲み始める」のでは、一番大切な時期に間に合わない可能性が高いため、“赤ちゃんを迎える準備”として妊活中からの摂取が理想とされています。
3. なぜ食事だけじゃなくて「サプリ」が必要なの?
「普段の食事を気をつけていれば大丈夫では?」と思いますよね。もちろん、ブロッコリーやほうれん草、いちご、レバーなどには葉酸が豊富に含まれています。
しかし、食事に含まれる「天然の葉酸」には弱点があります。
- ●熱に弱い: 調理の過程で壊れやすい
- ●体に吸収されにくい: 食べた分の「約半分」しか体に吸収されない
そのため、厚生労働省(『日本人の食事摂取基準』)でも、妊婦さんに対しては、通常の食事にプラスして「サプリメントなどから、毎日 400 μg(マイクログラム)の葉酸を摂ること」を勧めています。サプリメントの葉酸は体への吸収率が約85%と高く、効率よく赤ちゃんに栄養を届けることができるからです。
4. 「知らずに飲んでいなかった」というママへ
この記事を読んで、「私、妊娠初期に葉酸サプリを飲んでいなかった…どうしよう」と不安になったり、自分を責めたりしないでくださいね。
葉酸はあくまで「リスクを下げるためのもの」であり、飲まなかったからといって、必ず赤ちゃんにトラブルが起きるわけではありません。 日本でも毎日の食事からある程度の葉酸は摂取できています。
大切なのは、「気づいたその日から」始めること。そして、お母さんが不安でいっぱいに過ごすよりも、リラックスして笑顔で過ごすことです。いつでもご相談に乗りますので、どうぞお気軽にクリニックへお越しください。
