【小児科医が解説】SIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんを守るために大切なこと|小児科・皮膚科|平井みらいこどもクリニック|土曜診療

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【小児科医が解説】SIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんを守るために大切なこと

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【小児科医が解説】SIDS(乳幼児突然死症候群)から赤ちゃんを守るために大切なこと

今日は、赤ちゃんを育てているご家族の皆さんにとって、とても大切なテーマである「SIDS(乳幼児突然死症候群)」についてお話ししたいと思います。SIDSは、ご両親にとって非常に心配なことの一つだと思いますが、適切な知識と対策でリスクを減らすことができます。

SIDSについて

SIDSってどんな病気?

SIDS(Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった赤ちゃんが、睡眠中に突然亡くなってしまう、原因不明の病気です。窒息などの事故とは異なり、赤ちゃんには何の予兆もないまま起こってしまうため、「なぜ?」という辛い思いをされるご家族が少なくありません。

こども家庭庁SIDS啓発ポスター 20241015_policies_boshihoken_kenkou_sids_15

日本では、残念ながら年間数十名の赤ちゃんがSIDSで命を落としています。厚生労働省の統計によると、2021年のSIDSによる死亡数は58人、出生1000に対し0.06人でした。しかし、国を挙げた啓発活動のおかげで、その発症率は減少傾向にあります。主に生後2か月から6か月の乳児に多いこと(ただし1歳以降でもまれに発症すること)、冬から春にかけて起こりやすいことがわかっています。

SIDSの原因は?予防するためにできることは?

SIDSの原因はまだはっきりと解明されていません。しかし、様々な研究から、SIDSの発症リスクを高める要因と、それを防ぐための有効な対策が明らかになってきました。

厚生労働省SIDSを予防するために以下の3つのポイントを推奨しています。

1歳になるまでは、寝かせるときは「あおむけ」に!

 うつぶせ寝はSIDSの発症率が高いことがわかっています。医学的な理由でうつぶせ寝を勧められている場合を除き、1歳になるまではあおむけで寝かせましょう。これは、万が一の窒息事故を防ぐ上でもとても大切です。赤ちゃんが自分で寝返りができるようになった場合でも、基本はあおむけで寝かせ、うつぶせになったらすぐに体位を戻してあげましょう。

「たばこ」は赤ちゃんから遠ざけましょう。 

喫煙は、SIDSの発症リスクを大幅に高めることが知られています。妊娠中のママの喫煙はもちろん、家族や周囲の人のたばこの煙(受動喫煙)も赤ちゃんにとって非常に危険です。ご家族みんなで協力し、赤ちゃんの周りでは絶対にたばこを吸わないようにしましょう。

できるだけ「母乳」で育てましょう。

 母乳で育てられている赤ちゃんは、SIDSの発症率が低いという研究結果があります。母乳には赤ちゃんの免疫力を高めるなど、たくさんのメリットがあります。可能な範囲で母乳育児に取り組んでみてください。もちろん、ミルク育児が悪いわけではありませんのでご安心ください

もっと知っておきたい!SIDSを防ぐための大切なポイント

上記3点に加えて、安全な睡眠環境を整えることも非常に重要です。

安全なベビーベッドを使用しましょう。

大人用のベッドは柔らかすぎたり、隙間に赤ちゃんが挟まったりする危険があります。赤ちゃんの頭や身体がはさまれないよう、周囲の隙間やベッド柵と敷きぶとん・マットレスの隙間をなくしましょう。そして、転落防止のため柵は常に上げておきましょう。国が定めた安全基準の検査に合格した製品であることを示す、PSCマークが貼付されたベビーベッドを選びましょう。PSCマークの対象となる「特定製品」の中でも、ベビーベッドは「特別特定製品」という、さらに厳しい基準が設けられています。

柔らかい寝具は使わない!

ふかふかした柔らかい敷きぶとん・マットレス・枕は、うつぶせになった場合に顔が埋まってしまい、鼻や口がふさがれて窒息するリスクがあります。赤ちゃん用の固めの寝具を使いましょう。

ベビーベッドの上をシンプルに。

赤ちゃんは、寝返りをしたり、ずり上がったり、寝ている間も動き回ります。枕、クッション、ぬいぐるみ、タオルなどは、赤ちゃんの顔を覆ったり、首に巻き付いたりして窒息させる危険があります。ベビーベッドには何も置かないようにしてください。1歳未満のこどもにおいては、掛けぶとんは使用せず、服装や室温で温度調整しましょう。過度な厚着や室温の上げすぎは避け、赤ちゃんが快適に過ごせる環境を整えてあげてください。

赤ちゃんを一人にしない工夫も大切。

特に生後半年までは、保護者と同じ部屋で寝かせることが推奨されます。添い寝は、親が覆い被さったり、布団で窒息するリスクがあります。保護者が添い寝をする時は、赤ちゃんを身体や腕で圧迫しないように注意し、赤ちゃんが寝付いたらベビーベッドに戻してあげましょう。

定期的な健康診査も忘れずに。

乳幼児健診は、赤ちゃんの成長発達を確認し、SIDSのリスクを高めるような潜在的な健康問題がないかを確認する大切な機会です。日頃の疑問や不安を専門家に相談する場としてもご活用ください。

心配な時は、いつでもご相談ください

SIDSは、ご家族の誰もが避けたい悲劇です。しかし、これらの予防策を実践することで、リスクを大きく減らすことができます。

平井みらいこどもクリニックは、地域の皆さんが安心して子育てに取り組めるよう、全力でサポートいたします。SIDSに関するご不安や疑問、赤ちゃんの睡眠環境についてのご相談など、どんなことでもお気軽にお声がけください。

当院のスタッフ一同、お子さんとご家族が笑顔で毎日を過ごせるよう、心から願っています。

 

平井みらいこどもクリニック 小児科 杉 海秀

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