【小児科医が解説】夏風邪って何?症状とホームケアのポイント|平井みらいこどもクリニック
- 2025年6月26日
- 感染症のこと
【小児科医が解説】夏風邪って何?、症状とホームケアのポイント|平井みらいこどもクリニック
こんにちは!本格的な夏に向けて、お子様の体調が気になる季節となりましたね。夏は楽しいイベントが多い反面、「夏風邪」が流行しやすい時期でもあります。
「夏風邪」と聞くと、他の風邪とはどう違うの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回は、お子様によく見られる夏風邪の症状や、ご家庭でできるケアのポイントについて詳しく解説します。
お子様の夏風邪とは?主な夏風邪の種類
「夏風邪」は、特定の病名ではなく、夏に流行しやすいウイルスによって引き起こされる風邪症状の総称です。
一般的に「夏かぜ」といわれる代表的な病気は以下の3種類です。
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ヘルパンギーナ
ほとんどがエンテロウイルス属というウイルスが原因です。突然の高熱と、のどの奥にできる痛みを伴う水ぶくれが特徴です。口の中の痛みから、食事がとりにくくなり、脱水症状に注意が必要です。
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手足口病
手足口病もほとんどがエンテロウイルス属というウイルスが原因です。手や足、口の中に水ぶくれや発疹が現れます。発熱やのどの痛みもみられますが、比較的軽症で済むことが多いです。ただし、口の中の痛みから、食事がとりにくくなり、こちらも脱水症状に注意が必要です。
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咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウイルスが原因です。高熱、のどの痛み、そして目の充血(結膜炎)や目やにが主な症状です。夏場のプールで感染が広がることから「プール熱」と呼ばれています。
夏風邪の治療法:ウイルスに特効薬はないってホント?
夏風邪の原因となるウイルスには、残念ながら特効薬はありません。そのため、お子さんのつらい症状を和らげるための対症療法が中心となります。例えば、発熱があれば解熱剤を使ったり、のどの痛みがひどければ、痛みを抑えるお薬を処方したりします。
これがお子様の夏風邪のサイン? 見逃せない特徴的な症状
一般的な風邪症状(発熱、咳、鼻水)に加えて、お子様の夏風邪では次のような特徴的な症状が見られることが多いです。
- ・皮膚や口の中にできる発疹・水ぶくれ: 特に手足口病では、手のひら、足の裏、お尻、そして口の中に特徴的な発疹が現れます。
- ・目の充血・目やに: プール熱の場合、目が真っ赤になったり、多量の目やにが出たりすることがあります。
- ・吐き気・下痢などの胃腸症状: 「お腹にくる風邪」とも言われるように、腹痛や下痢、嘔吐を伴うケースも少なくありません。
- ・高熱のわりに比較的元気: ウイルスの種類によっては、熱が高くても、意外と食欲があったり、比較的元気で遊びたがったりすることがあります。しかし、油断は禁物です。
お子様の様子で気になる症状があれば、いつでもご相談ください。
ご家庭でできる!お子様の夏風邪ホームケアのポイント
夏風邪の原因となるウイルスには、特別な特効薬はありません。症状を和らげ、お子さん自身の回復力をサポートする対症療法が基本となります。
- ・こまめな水分・糖分補給が重要!: 発熱やのどの痛みで経口摂取量が減少し、脱水や低血糖になりやすいので、こまめな水分補給と糖分補給が何よりも大切です。経口補水液、ジュース、ゼリーなど、お子さんが摂取しやすいものを少しずつでも与えましょう。
- ・十分な安静と休養: 無理をさせず、ゆっくり休むことが回復への近道です。暑い時期なので、エアコンで室温を快適に保ち、体を冷やしすぎないように注意しましょう。
- ・消化の良い食事: 食欲がない時は、刺激の少ない、消化の良いもの(おかゆ、うどん、プリン、冷奴など)を少量ずつでも食べさせてあげましょう。
- ・感染対策も大切: ご家族への感染を防ぐため、手洗いを徹底し、タオルや食器の共有は避けてください。特に、小さなお子さんのおむつ交換後や食事の前には、石鹸を使った手洗いを心がけましょう。
こんな時はすぐ受診!平井みらいこどもクリニックへ
ほとんどのお子様の夏風邪は数日で回復しますが、まれに重症化することもあります。次のような症状が見られる場合は、迷わず医療機関を受診してください。
- ・水分や食事などの摂取量が極端に減少し、脱水症状や低血糖が疑われる
- ・ぐったりしている、顔色が非常に悪い、しんどそう
- ・意識がはっきりしない、けいれんを起こした
- ・激しい頭痛があり、嘔吐を繰り返す
- ・高熱が何日も続いている、または一度下がった熱が再び上がった
平井みらいこどもクリニックは、お子様とご家族に寄り添った医療を提供しています。何かご心配なことがあれば、いつでもお気軽にご来院ください。
平井みらいこどもクリニック小児科 杉 海秀